特定技能は技能実習とは違う事業モデルが必要。宿泊業の特定技能の事業モデル案。

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昨日の新制度の運用要領を読む限りでは、新制度では技能実習からだいぶ事業モデルを変えていかなければダメだなと思いました。

宿泊業は、技能実習も特定技能にも入るので、どちらを選ぶかかなりややこしい問題となっています。いっそのこと特定技能だけだった方がどれだけシンプルで良かったか…

候補者の募集や教育を行う送り出し機関の私が感じている範囲での一長一短を解説してみます。

技能実習の「宿泊業」で外国人を受け入れた場合

技能実習では、歴史が長いので日本側でもベトナム側でもほぼ事業モデルが確立している感じです。

宿泊業で日本に行くとしたら、ベトナム人候補者が技能実習を選ぶメリットとしては、面接のための日本語や技能の勉強などはほぼ不要です。面接に合格して日本に行けることが決まってから、日本語を勉強します。落ちたら違う職種の面接を受けたり、別の国に行く面接を受けたりするので、面接前に日本語や技能を学んで時間と努力とお金の無駄になることはありません。

デメリットとしては、問題になっているように手数料が高いことです。送り出し機関は企業からほとんどお金をもらえないので、候補者からいただくしかありません。手数料が100万円を超えているケースが多いのも、大きな送り出し機関はそのお金を日本のブローカーや監理団体、企業にバラ撒いているので営業力があります。すぐに日本に行けるたくさんの求人があるので、候補者は100万円払ってでもすぐに行ける道を選ぶ傾向があります。

 

特定技能で今の技能実習制度と同じやり方をした場合はいろいろなリスクがでてきます。

候補者にとって、面接に行くまでは日本語や技能の勉強などないため、面接を受ける時点ではリスクがありません。不合格なら別の職種や別の国でも仕事はたくさんありますから。しかし、面接に合格したからといって確実に日本に行けるわけではありません。

日本語検定N4相当と、技能試験に合格しなければなりません。N4は朝から晩まで缶詰でフルタイムで勉強したとしても8ヶ月で70〜80%の合格率です。遅ければ1年以上かかります。それにまだ内容がわからなく準備のしようがない技能試験の勉強も必要です。どの程度の準備が必要かもわかりません。

日本語の検定は1年に6回程度あるようなので、ダメでも2ヶ月後に再チャレンジできますが、技能試験は1年に2回ということです。一度落ちたら半年後しかチャンスはありません。その間、収入もなく出ていくお金ばかりで勉強を続けなければなりません。

企業にとってのリスクも大きいです。面接をして候補者を選んだものの、その人たちがいつ入国できるかさっぱりわからないからです。全員が1年以内に日本語と技能検定の両方に合格してくれたら問題ないわけですが、必ず落ちる人は何人か出てきます。入国が分散することで、人員計画を立てられなかったり、一度で住むはずの労力やコストが二重や三重にかかる場合もあるでしょう。

これを考えれば、候補者にとっては間違いなく技能実習の方が低リスクで確実。

企業にとっても同じでしょう。しかし、企業にとっては、技能実習は「労働者」ではなく、「研修に来ている」という名目なので、いろいろな負担があります。

まず、監理団体を通さなければならないこと。それによって毎月の監理費がかかること。知っている人で15人の技能実習生を受け入れている会社があり、ひとりあたり監理費が毎月4万円なので、監理団体に毎月60万円を払っています。それでも、アドバイスはめちゃくちゃで、月に1回も来ないということで払っている金額の割にサポートがないため不満に思っているようです。

それでいて実習生からは給料が安いとか文句をいわれているので、監理費を払う代わりに専用の人材を1人採用したとしてもまだ実習生の給料を1万とか2万円とか上げることができます。

今の制度だとそういうことはできませんが、特定技能になったらできる可能性があります。

また、他のホテルとかへの人材紹介とかもやっている会社は、技能実習の監理団体にあたりそうな「登録支援団体」となって、他の会社にも外国人を紹介したいと思っている人は、特定技能でしかできませんので、特定技能しかなく、そのお客様にも特定技能を選んでもらわなくてはなりません。そのメリットを説明できるかが課題です。もちろん、いままでの話では候補者にとっても特定技能を選ぶメリットが全くないため、募集も困難がつきまといます。

 

特定技能でホテルに人材を入れる場合の事業モデル(案)

まずは、候補者に技能実習より特定技能が良いというメリットを提示しなければなりません。100万円払ってでもすぐに日本に行って稼ぎたいという人たちなので簡単ではありません。

ひとつは、給料を技能実習よりも上げること。技能実習が基本給15万円なら、特定技能は17〜18万円など。直接雇用の場合は監理費が不要と思いますのでその分上げることは可能と思いますし、登録支援機関を通した場合もコンサル費のような感じでサービスに対し対価を払うような感じになり、毎月いくらではないと聞いています。

ふたつめは、技能実習生たちが高額な手数料や教育費を払って日本に行きますが、ある程度を受け入れる企業が負担をすることです。技能実習ですと送り出し機関は企業からいただけるお金があまりないため、3600ドルまで本人たちから手数料をいただいても良いことになっています。それが100万円とかになっているのが問題です。

候補者からいただく教育費をゼロ、手数料を20万円くらいにすることができれば、だいぶ状況を変えることができるかなと思っています。

企業様から支援していただいたお金で、1年間ほど日本語や技能試験の勉強をして、合格した人材をプールしておいて、企業様に面接をしてもらい、面接に合格した人たちは在留資格を申請して日本に行ける。

おっと辻褄が合わなくなってきたぞ…

受け入れ企業にとっては、学費を支援したとしてもその人たちが100%合格するかわからないまま支援できるのか。合格したらがんばった分10万円あげます的な感じにしたらいいのか。学費を支援するのは送り出し機関や人材紹介会社や登録支援機関が支援して、入国後に紹介手数料とともに企業様からいただいた方が良いのか。

候補者本人たちにしても、日本語試験も技能試験も合格しているのに、面接でいつまでも選んでもらえないというリスクも出てくる。

企業にとっても候補者にとっても完全にリスクをなくすのはもちろん不可能でしょうが、もうちょっと考えてみなければなりません。

「日本に行きたいのだったら、自分でN4程度まで勉強して試験勉強も自分で負担してやるのが当然」

という声も聞こえてきそうですが、そこまでして宿泊業や特定技能が選んでもらえるわけではありません。そもそも日本でなくてもいろいろな選択肢があるわけですから。