技能実習、特定技能のコスト比較

技能実習、特定技能のコスト比較

比較以前の話として、特定技能での採用はほぼ不可能です。

現在の宿泊業の特定技能試験の合格者は、1000名程度で在留資格の取得に至ったのは15人だけで、1.5%です。

その理由としては、候補者がまだ卒業していないことや、特定技能自体の認知度が低いなど環境面での他に、

・留学生は技人国の在留資格が欲しいため、合格していても特定技能に興味がない

・低賃金でしかも地方での仕事が多いため、20万以上で東京での求人も多い外食業もダブルで合格している人は外食業に流れる。(外食業は東京だけでも41人)

・宿泊業は「掃除の仕事」というイメージがあるため、日本語を使う仕事をしたい合格者は外食か技人国を選ぶ。

・ホテル、旅館側としては、日本語が上手な人材を想定していたが、面接してみるとN4やN3がほとんどで、N2でも会話力が弱い上に紹介料が高いため踏み切れない。

などいろいろな理由があります。

これが今後半年でマッチング率が現状の1.5%から5%や10%にもし上がったとしても、50人や100人程度です。海外で試験が開始されても1年間で合格者が数百人から1000人程度増えるだけで、採用に至るのが最大でも100人程度でほとんど期待できません。

マッチング率が70~80%にならなければ今後の海外での試験も開催は難しいでしょう。しかし技人国や外食の滑り止めとしての受験者はかなりの比率を占め続ける上、N4レベルの合格者は採用にいたらないため、今後も低いマッチング率は続くでしょう。

法律で「N4以上」と決まっているため日本語力が低い人を試験から締め出すことも、滑り止め受験などを規制することは当然できません。しかしこのまま低いマッチング率が続けば試験を受けても就職にはつながらないことがわかってくるため、目指す人材自体が少なくなっていきます。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

宿泊業での外国人採用をご検討されている場合は、技能実習を採用し、3年後も特定技能としてさらに活躍してもらう以外に選択肢はないと考えています。

【初期費用】技能実習、特定技能の比較

追記:日本とベトナム政府間のガイドラインで特定技能の採用時にベトナム側へ支払う金額が手数料1800USD+教育費1000USDと決まりそうなため、それに基づいて追記しました。(2019年9月24日)

技能実習 特定技能
海外から
特定技能
国内から
特定技能の
悪質業者
紹介手数料
(国内業者)
なし 40~60万円(年収の20~25%) 40~60万円(年収の20~25%) 0~20万円
紹介手数料
(海外取次業者)
なし *(1800ドル。ベトナムの場合。国内業者の手数料に含まれる) 0円 0円
教育費 15000円~ *1000ドル
(N4までの日本語、技能試験教育)
0円 0円
書類作成
申請
4~5万 15~20万円 15~20万円 0~20万円
航空券 3~5万 3~5万 なし 0円
入国後講習 10~16万円 なし なし なし
講習手当 6~7万円 なし なし なし
監理費・支援費 3~4万円 2~3万円 2~3万円 2~3万円
受入れ企業負担初期費用合計 27.5~35万 70.8~98.8万 57~83万 2~43万円
本人が負担する費用
(手数料、教育費など)
法定通りの場合4000ドル前後
(悪質の場合6,000~10,000ドル)
3600ドル なし 4000~10,000ドル
本人負担を含めた初期費用合計 70~78万円
(悪質の場合は93~145万)
120万円 67~93万円
(中間業者が本人から取っていない場合)
45万(国内募集)~110万(海外から募集)

*上の表では、国内交通費、健康診断、保険などは含んでおりません。

*海外からの特定技能の手数料1800ドル、教育費1000ドルはベトナムと日本のガイドラインでこのように決まると考えられており、確定ではありません。

初期費用の解説

技能実習

試験のハードルもないため募集も比較的簡単なため、悪質業者さえ使わなければ、本人負担を入れても最も安くつきます。

海外からの特定技能

教育に技能実習より時間もお金もかかり、本人たちにとっては合格できるかわからないリスクがあります。そのため募集も難しく技能実習よりも当然高くつきます。海外の取次機関への手数料も必要なため、人材紹介会社に年収の20~25%程度の支払いが必要です。それでも募集できる可能性は低いです。

国内にいる留学生の特定技能

合法的な手段の場合、特定技能では安く済みますが、留学生の数も減っており、ほとんどの場合は就労ビザを目指すため採用できる確率は極めて低いです。募集は現状、人材紹介会社が技能試験会場でビラを配ったりSNS経由くらいしか手段がなく極めて難しいため、人材紹介会社も安い手数料ではできず年収の20~25%は必要です。アルバイトからそのまま特定技能に就職する場合は、紹介料は必要ありません。

悪質業者の場合

初期費用を安く提示している現実を認識していない業者、もしくは悪質業者はたくさんいますが、安いのには理由があります。本人たちから多額の金額を徴収することが前提なためです。これは業者自身も知らない場合が多く、その場合は悪質業者ではなく、無知な業者でそれも危険です。

人材本人が多くの金額を払ってでも特定技能で日本で働きたい人は現地では皆無で、国内にいる留学生もお金がかからず良い条件の他業種の求人もたくさんあるため採用できません。悪質業者や無知な業者はその点をよくわかっていません。

この方法で採用できたとしても借金して多額の初期費用を払った人材はよりよい給料をもとめてすぐに転職することは想像できます。

また、海外側への手数料や教育費の支払いは両国のガイドラインで決まるため、払わない場合は罰せられる可能性もある。

最も安く宿泊業の特定技能人材を採用する方法

現在は外食業でも宿泊業でも特定技能の試験に合格した人を探すのが困難で人材紹介会社もお手上げ状態です。それでFacebookで「私は外食の特定技能に合格しました」と外国人の投稿があると、日本の業者がこぞって「仕事を紹介できます!」とコメントして奪い合い状態です。

このような環境の中で特定技能外国人を採用するには、

1.他の業界や都市部に負けないような興味を持ってもらえる好待遇の求人を作る

2.その求人を持って技能試験の当日に試験会場に行ってビラ配りする

3.Facebookのコミュニティでこまめに求人を投稿する。

4.Facebookのコミュニティで、「合格しました」と投稿する外国人に自社の求人をアピールし、他を凌駕する条件を提示して選んでもらう。

などが考えられます。

実際に人材紹介会社もこれ以外に候補者を募集する方法がないため、このようにしているところが多いです。そのため人材紹介会社は紹介料も安くはできませんが、自社で取り組めば紹介料は不要です。しかし成功率がかなり低い状態の中で、多くの労力を割くことになります。

このような努力をしても採用できない、いるかどうかもわからない幻の「優秀な人材」を探すのではなく、原石の技能実習生を採用して育てていくことが現実的だと思います。

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katoreiwa02@gmail.com(加藤)