N4未満の技能実習生に宿泊業の仕事は可能か?

N4未満の技能実習生に宿泊業の仕事は可能か?

高い日本語力を求めた場合、高い給料を提示しなければ採用は非常に難しい

コミュニケーションの多い仕事として、よく介護と比較されます。

介護は最初は日本語検定3級が求められていて、来る人が少なかったので4級にして、給料高めにして多額の教育費を日本側が負担しても少ない状態です。

特定技能もN4以上+技能試験となっていることもあるため、留学経験者以外は目指さないことが予想されます。

日本語力の高い人に来て欲しいが、ハードルを上げれば外国人にも敬遠されます。

宿泊業でも日本語能力が高い方が良いに決まっていますが、ハードルを上げればその分給料も魅力的でなければ来ないため、落としどころが必要です。

よく比較される介護との違い

よく介護と比較されて、コミュニケーションの多い介護と同程度のN3は必要だろう、という意見が見られます。

当然、日本語力はあった方が良いのですが、高い給料や教育費が払えない場合は、N4未満の人材を採用せざるを得ないです。

介護と宿泊業は必要な日本語能力の性質が違う。

介護は最も難しい日常会話の習得が必要

しかし介護とは全然違うと考えています。介護は雑用など日本語を使わない業務も多いですが、直接お年寄りに触れる仕事や、コミュニケーションをとる業務の場合は、間違いがあれば命の危険もありますし、コミュニケーションも日常会話含め、難解な会話が多いです。

外国語で最も難しいのは日常会話です。よく英会話で、「最低でも日常会話ができるようになりたい」と聞きますが、日常会話ほど難しいものはありません。いろいろなジャンルの言葉や固有名詞を知らなければ会話にならないからです。

そのため、英語でも目標を日常会話の習得にしてしまうと、失敗してしまいがちです。

宿泊業はビジネス会話に近い。ビジネス会話は日常会話よりも簡単。

最も簡単なのはビジネス会話です。海外で仕事をするビジネスマンの中にはビジネス英語はできるが、日常会話は苦手という人は多くいます。英語で仕事するのは使う言葉は決まっていますが、日常会話だと、文化や時代を反映させた言い回しやスラングなどが多すぎて理解できない場合が多い。ビジネス英語なら、そういう言い回しも限定的で、同じものが何回も出てきます。

英語のできる日本人と、英語ネイティブまたは英語が堪能な外国人が一緒に仕事しているところでよく見る光景が、仕事中や会議中は活発なコミュニケーションしているのですが、休憩時間や食事をしているときはシーンとしているところです。これは日常会話にはコミュニケーションスキルや高度な語学力が求められるからです。

仕事で使う言葉は毎日使う言葉や言い回しは一緒のため繰り返しでおぼえられます。いくつかの言い回しや言葉を覚えてしまえば、文型はそのままで数字や単語だけ入れ替えて使いまわしができるからです。覚えることは多くはありません。

日常会話にも対応しなければならない介護と違い、宿泊業では日常会話までお客さんが求めていません。

ビジネスホテルやシティホテルでも泊まったときにホテルのスタッフと何を話ますか?

自分の名前を言って、あとはスタッフの説明に「はい」というだけです。ほとんどのお客さんはホテルのスタッフと話したいなどと思っていなく、早く鍵をもらって部屋に行って寝るか、食事しに行くことを考えています。

稀に言われることといえば、質問も決まっています

「近くのコンビニはどこですか?」

「この辺で美味しい飲み屋はどこですか?」

というのが最も多く、そういうのは資料を用意しておいたり、何回も練習して説明できるようになります。

予約の変更などの難しいことを言われた場合は対応できませんが、そこまで技能実習で想定されておらず、日本人スタッフに代わってもらえば済む話です。

旅館の場合はもう少し会話が増えてくると思いますが、お客さんもホテルスタッフと話しに来ているわけではなく、一緒に来た家族や友達とのコミュニケーションを楽しみに来ているのであって、スタッフは黒子です。

部屋まで案内する最中や、食事の配膳をしている間に日常会話的なことを話してくるお客さんもいると思いますが、失礼にならないようなマナーさえ身につけておけば、わからなくても不快に思うようなことはないでしょう。

食事の時間でも飲み物の注文と料理の説明くらいで、あとはスタッフとの会話はほとんどないでしょう。濃いコミュニケーションをウリにしているホテルや旅館以外は、だいたいこんなものかと思います。

何も支配人やレベニューマネジメントの仕事をやるわけではありません。仕組みや準備さえできていれば、ホテルによってはロボットや自動販売機がやっている仕事を、外国人が人の温かみやおもてなしの心をもってやるだけなので、言葉の面からはそう難しくはないと思います。

それにいきなりフロントをやるわけでもないので、接客補助などの簡単なコミュニケーションから少しずつ荷物もったり配膳するなど、使う言葉がより限定的でしょう。

必要な日本語力は建設より低い

なんども書いていますが、日本語力はあればあるに越したことはありませんが、現実的として技能実習生に高い日本語力を求めることはできません。

宿泊は介護とよく比較されますが、実際に必要なレベルは建設より低いと考えています。

建設は、現場が毎回違い、指示が理解できなければ命の危険もあり、間違えば現場を破壊したり仕上がりが違うものになったりします。対して宿泊業はお客様は毎回違うものの、現場は毎日同じです。

N4前後の人材でも宿泊業の仕事はできるが、研修や練習が必要

そうはいっても、日本語を勉強してから6か月程度の人が、接客の言葉を全部覚え、指示が理解できる言葉を覚え、料理やモノの名前を覚えるのは簡単なことではありません。

弊社では1カ月以上の教育カリキュラムを作っていますが、1カ月では限定的で、ホテルによって仕事のやり方も違うし、モノの呼び方も違うため、配属されてからの教育や練習が重要です。

介護は日本人でも頻繁にスキルアップの研修などがあるようで、外国人にもそういう教材や教育システムを用意しているところを見かけます。

宿泊業は介護まででないにしろ、技能実習でもあることから、教育してひとつずつ仕事ができるようにしていくことは重要です。

業務に関係する言葉と、お客さんと話すセリフを体で覚えることが必要

日本人の新人ホテルスタッフも、ホテルシステムの使い方がわからず、お客さんが来て緊張して、あたふたしているとお客さんの顔が怖くなってもっとパニックになるような経験を通して、自分なりのパターンができていって、何回もやっているうちに考えなくても口から言葉が出てくるようになっていくと思います。

外国人の場合は練習の段階で、口から言葉が勝手にでてくるまで、何百回という練習が必要になってくると思います。

いきなりできるわけではないので、補助作業や日本語をあまり使わない作業をやりながら練習すれば、日常会話は下手でも仕事はできるようになると考えています。

 

◆記事についてのご意見や、宿泊業のベトナム人材(実習生、特定技能、インターンシップなど)の相談があればお気軽にご連絡ください。

E-mail: katoreiwa02@gmail.com(加藤)